格闘探偵団バトラーツ/2007.01.27/東京・北千住ＴＨＥＡＴＲＥ１０１０・ミニシアター⑤

格闘探偵団バトラーツ/2007.01.27/東京・北千住ＴＨＥＡＴＲＥ１０１０・ミニシアター⑤

◎第5試合　ＹＵＫＩカウントダウン？　30分1本勝負
　○石川雄規(18分17秒　アキレス腱固め)アレクサンダー大塚[AO/DC]●
★試合のタイトルに「カウントダウン」が遂に付いた。が,本人は前から自分の残り時間について語り,観逃した人達を後悔させてやると言っている。だから俺は石川選手の情念世界を観続けている...それだけではないのだけれどね。
両者が入場し睨み合うだけで,会場が緊張感に包まれた。 2004年10月10日桂スタジオ(闘いのソナタ)以来の両者の一騎討ち。時間を考えれば最後のシングルマッチかもしれない...。
両者がガッチリ握手をし試合開始。手四つで組み合い,お互いの力を探り合う...両者ともお互いの手の内を知り尽くしているだけに,重要な手合わせだっただろう。何かを感じとったか？石川選手の表情が後ろ髪が長かった頃のように若々しく見えた。
そしてグランドでのせめぎあい。お互い良いとこを取らせずネチネチと主導権を握りに行く。長い時間グランドでの濃厚なレスリングが続くと,一転してアレク選手が仕掛ける。
どこからでも投げる殺人スープレックスで石川選手をマットに突き刺す。石川選手も負けじとバックドロップと延髄斬りを炸裂させる。その後も両者得意技をぶち込むも決定打とはならない。
頭突き合戦や張り合いで両者とも動きが鈍る。物凄い濃密な時間で両者の気力・体力が磨り減っていく...相変わらず凄い人達だ。
終盤のグランドの攻防では石川選手がアレク選手を情念世界に引きずりこむ。アレク選手が何度技を切り返しても,切り返した瞬間石川選手がすぐに極め返す...まさに無限地獄。
なんとか無限地獄を逃れたアレク選手が石川選手のフロントネックロックを水車落としで切り返しフルネルソンに。ここでフルネルソン・スープレックスが出れば石川選手が危ない。
石川選手は足をフックしこれを阻止すると,体制を入れ替え脇固め。さらにグランド卍固めへ。それを逃れられると,両者がアキレス腱固めをかけ意地の張り合いに。
徐々にアレク選手の顔が苦悶の表情に歪む...まさか!! その時だった。アレク選手が実に悔しそうな顔で,石川選手の太股にタップした。 18分17秒石川選手がアキレス腱固めで勝利した。
スゲエよ!!凄過ぎるよ!!感動ですよ!! 勝った石川選手の表情がたまらなく良い表情だ。負けたアレク選手は痛々しく足をアイシングされている。
アキレス腱固めです...アキレス腱固め...。いまでは休憩技や繋ぎ技として使われる技ですよ。けど,本物を知るの人がキチンと極めれば,アキレス腱固めはやはり極め技なんです。どんな技でも一緒です...プロレス技...プロレスは凄いんです。それを現代のプロレスの中で実証した石川選手は最高に凄いんです。
試合後は両者が健闘を称え合い正座で礼...なんとも神々しい風景だった。マイクを掴んだ石川選手が言霊を放つ「しつこいよアレク(笑)...俺達はなあ...ずっとこうやってバカな世間を殴り続けてきた... これからも殴り続けていこうぜ!!」と。そしてマイク無し「ナーシャ」で千住の風になってｖｏｌ.2は幕を閉じた。
本当に凄い試合だった。アレク選手は試合後のコメントやブログで“観客おいてけぼり”をわびていた...いやいや違いますよ。全然おいてけぼりじゃなかったです。むしろ両者のドロドロネチネチした濃厚なレスリングに惹きこまれていったんですよ。おいてけぼりじゃない...素晴らしい試合だった。
この試合,俺は猛烈に感動し猛烈に嬉しかったです。なんちゅうかプロレスの凄まじさやレスラーの凄さを魅せつけられたっていうか。きっと若い選手達にも良い刺激になったと思います。
いわゆるバチバチは観てても爽快で楽しいし,世間でも注目されています。けど,こういったねちっこいレスリングで石川選手が求心力を放ってこそ成り立っているというか... うまく言えないけど...情念という太陽を中心に探偵団員が惑星のごとくその周りを周っているみたいな。
けど,これだけはハッキリ言える...「ありがとう石川選手」...「ありがとうアレク選手」 ...「ありがとうプロレス」...「ありがとうゴッチさん」。プロレスに心から感謝し,プロレスファンで良かったなあと心から思いました。
本当に「ありがとう」