格闘探偵団バトラーツ/2008.06.01/東京・北千住THEATRE1010・ミニシアター⑤

◎第5試合  スペシャルシングルマッチ God Bless The Ring~神の遺志のもとに~ 30分1本勝負
~グラップリングBルール~

 ●石川雄規(15分27秒 ゴッチロック)カール・グレコ○
★1996年4月13日小田原市鴨川東タウンセンター・マロニエホールでバトラーツは産声をあげた(正確には 4月6日JCTVスタジオでののプレ旗揚げイベントだが)。 そのメインで行われた石川雄規vsカール・マレンコ戦...カール選手がカール・シックルで勝利。
原点とでもいうべきマッチメークが,プロレスの基を魅せるようなルールで再び2008年に行われる。 もろもろの経済状況を考えれば最後の一騎討ちかもしれないと...。
さらに亡くなられたカール・ゴッチさんの日米最後の弟子である両雄が ゴッチさんに奉げるべく戦う...試合のタイトルは“God Bless The Ring~神の遺志のもとに~”だ。
蘇ったBルール(2008.12.24「まっ赤なお鼻」石川vs矢野戦で行われたが)に会場の期待感が高まるのを感じた。 セミの余韻を押しのけ期待感が上回る...伝説ってのはこういう事なのか?
さてグラップリングBルールをとりあえず...
【Bルール】※石川選手の日記より引用
1.試合時間は状況によりその大会ごとに設定する。
2.勝敗は、ギブアップ、レフェリーストップ、ポイント差により決する。
3.キック、パンチ、張り手、頭突等、一切の打撃技を禁止する。
4.投げ技、関節技、絞め技は認められる。
5.両者合わせてロープエスケープ(ロストポイント)は5回まで認められる。(以降ロストポイントと称する)
6.両者合わせて5つのロストポイントを消化した場合、ロープブレイク、エスケープは認められない。つまりギブアップかレフリーストップとなる。
7.時間内に勝負が決しなかった場合、ロストポイントの少ない方の選手の勝利とする。
8.時間内に勝負がつかず、ロストポイントが同点の場合、ファーストロストポイントを奪った方の選手の勝利とする。
非常に戦略的でファーストエスケープも重要視されるルールなのです。

カール選手はもちろんレガースを脱ぎ登場,肩にはなにかのチャンピオンベルトが輝く。 石川選手はいつものように独特の世界を入場から魅せる。 選手コールが終わると遂にゴングが鳴る。
序盤から両者が目まぐるしい切り返し合いを魅せる。 チョップもエルボーもキックも張り手も無い攻防で 会場をその世界に引きずり込む両者。 5分以上もエスケープも無くグランドで切り返し合いを続ける両者の集中力と技術の 凄まじさに魅了されまくった。
そんな中,最初にポイントを奪ったのは石川選手。 高度な攻防の中,ヒールホールドを極め奪取した...沸き起こる会場。 エスケープ一つで会場が沸く凄い光景だ。 最初のエスケープがいかに有利であり凄いかって事が理解されている感じだった。
それにしても5分以上もエスケープしない大人気ない魅力ったらありゃしない。 エスケープの際悔しそうなカール選手の表情がこの男達の強さを物語ってた。
残りポイントは「4」に。
試合が再開されるやいきなり胴絞めスリーパーでポイントを奪い返したカール選手。
残りポイントは「3」に。
勢いに乗るべくカールシックルを狙うが,石川選手が極めさせないので 首ではなく腕を取りに行く。 そんな中この試合一番の大技情念バックドロップが決まった。 倒れる両者だが先に息を吹き返したカール選手 が石川選手に絡みつく。 なんとか凌ごうとする石川選手だったが,カール選手が下からのアームロックで 2ポイント目を奪う。
残りポイントは「2」に。
息遣いが荒くなる両者だが緻密なグランウンド戦はますます熱を増す。 そんな中,石川選手がカール選手から腕ひしぎ逆十字固めで2ポイント目を奪った。
残りポイント「1」...このまま時間切れなら石川選手の勝利。 必然的に次のポイントは勝負の鍵を大きく握る。
試合が再開されると...ん? 両者が同時にトップロープを掴む...なんと,最後のポイントは両者同時エスケープ!! 残りポイント「0」で石川選手が時間切れなら勝利なのだが, 石川選手にもカール選手にも最後はキッチリ一本で極めようぜみたいな雰囲気が ...もうその時のかっこよさったらなかったです,鳥肌がたちました。
まさに男が男に惚れる試合となった。 さらに凄かったのはスタミナを消費した両者の動きがさらに速く高度になったのだ。 本当にスゲエ人達である...その人間力にも引き込まれていく。
さらに密度を増した攻防を制したのはカール選手だった。 最後はゴッチロックという崇高なる神技でカール選手が勝利した。
ゴッチロック...試合後の石川選手のマイクによれば ゴッチさんが亡くなるギリギリ一年前くらいからカール選手は一緒に練習をし 色々な技術等を直に学んだそうです。 その中で最後の最後のシークレットムーブであり,神様ゴッチさんが最後に残した技なのだそうです。 神に奉げる試合の最後は,神が最後に残した技...たまらんね。
型としてはプロレスの首投げ...サッカーボールキックやスリーパーに行く前に相手の首を極め前に投げるやつ。 昭和のレスラーはこれで相手のスタミナを奪ったり,石川選手はこれで相手を極めそうなくらい痛めつける。 B系以外のプロレスでも非常に大事な技であり,これがおろそかだと説得力が全然違うあの型でありクラッチ。 そのクラッチの裏ヴァージョンって感じでしょうか。 首にかけるクラッチ部分を顎にかけるような...まあ観れなかった人は一生観れないかもしれないですが。 とにかくホンモノの技なのです。
それにしても凄すぎた試合でした。 感動もしたし鳥肌もたったし胸も熱くなった...けど,一番は面白かったです♪ 俺はねちねちしたグランドレスリングが大好き。 けど総合とかのグラップリングマッチは違うのです...昨日のメインはまさに本物のプロフェッショナルレスリングだった。
技術だけじゃないんですよ...もちろん技術も凄いんですけど,決してそれだけじゃないんですよ。 ただのグラップリングマッチとかシンプルなグランドの攻防じゃないんですよ。 なんつうか観客の心臓を直接掴むっつうか,ダイレクトなメッセージっつうか...言葉じゃ伝えられないのが残念です。
これを見逃したらバトラーツファン...いやプロレスファンとして残念な事だと思えるようなプロのレスリングでした。 これを出来るプロレスラーは世界中でも極一握りなのが残念なのだが, その意思や技術は確実に次の世代にも受け継がれる事を信じてこれからも格闘探偵団を 観続けたいと思いました。
石川選手・カール選手素的な時間をありがとう!!
そしてゴッチさん...あなたがいてくれた事に感謝します...ありがとう!!


リアル“カール・ゴッチ最後の弟子”カール・グレコ選手


情念が物語る神への思い...


試合開始


お互いよいとこは取らせない


サイドから腕を狙う


バックから顔を取りに




フェイスロックを間を詰めて極めさせない


腹固め


レッグロックでの切り返し


足関節のかけ合い


複雑に絡み合う足




がぶる


胴絞めスリーパー


腕を引き込みガード


脇固め


【1】石川選手がヒールホールドで1STポイント奪取


【2】カール選手が胴絞めスリーパーでポイント奪取


カール・シックルが極まらない


バックドロップで倒れこむ


スペースの取り合い


【3】カール選手が下からのアームロックで2ポイント目を奪う


三角絞め


【4】ここから腕ひしぎ逆十字固めに移行し,石川選手も2ポイント目を奪う


【5】両者が同時に自らエスケープし死線を引く...マジでしびれた!!


スピードが増す


高度な攻防が続く




腕でデスロック...


さらに腕も極める...


それをさらに切り返す


十字架固め


反重力のスリーパー


フィニッシュは,まさに神技ゴッチロック


カール選手が聖戦を制した


称え合う両者


礼で終わった...

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