格闘探偵団バトラーツ/2010.02.07/埼玉・イサミレッスル武闘館④

◎第4試合 吉川祐太 最終試合・バトラーツルール 30分1本勝負
 吉川祐太&臼田勝美[BML]vs澤 宗紀&日高郁人[ZERO1]
 ●吉川祐太(27分31秒 レフェリーストップ)澤 宗紀○

 *伊良部パンチ
★そこから旅立つ事は,とても力がいるよ。
.....サヨナラから始まる事が沢山あるんだよ。
本当の事が見えてるなら,その想いを僕に見せて。
大好きなSUPER BUTTER DOGの“サヨナラCOLOR”は,最後と思われていた鮫肌バトラーツのエンディング曲だった。
鮫肌バトラーツが再び蘇り,そして1人の男がプロレス界から消えていく。 始まりがあれば,終わりがある...

いつもなら休憩時間が明けるのが嬉しいのに,今回は嬉しいような寂しいような。 刻一刻と最後の時は迫る。
休憩が終わりいよいよメインイベントが始まる。
暗転する場内に「青コーナーより吉川祐太、臼田勝美入場!!」と響き渡るアナウンス。 主役の吉川選手が青コーナーより入場...らしいなあ。
会場に流れる入場曲はZEBRAHEADの『RESCUE ME』。 ここ最近は新しい入場曲を使用していたが,やはり最後は馴染みのこの曲!!
試合前に「RESCUE MEだったらいいのにね」と話していただけに嬉しかった。
今までは手拍子が合わない曲なので,無理矢理手拍子を合わせた事は無かったが, 最後なので勝手に手拍子を思い切り叩いていた。 一人一人の一つの一つ手拍子が吉川選手に「頑張れ」と言ってるかのように,会場を包み込んだ。
いつものように人差し指を立て回しながらリングを一周する吉川選手。 気合の入った表情...何も変わらないのに,これが最後なんだなあ....。

吉川選手のデビュー戦の観戦記に“また次にバトを観る楽しみが一つ増えました。”と書いていた。
http://www.geocities.jp/masamahoroba/ka/battlarts/050918/050918.htm
今回で楽しみが一つ減るのかあ...
吉川選手のデビュー戦は2005年9月18日(日)に,当時バトラーツがホームグラウンドで使用していた埼玉県の桂スタジオで行われた。
第1試合で後輩でありプロの先輩である原(スルガ)選手と対戦し,518人の観客が見守る中7分54秒で敗れた。 何度も何度も観てきた吉川選手の鼻血だが,デビュー戦でも鼻血を出していた。
その日の興行の副題は“果てしなき夢に向かい”だった。 若武者吉川選手の船出にはピッタリの言葉だった。
吉川選手は“果てしなき夢に向かい”戦い続けた。 その真っ直ぐすぎる戦いは清清しくもあり,切なくも感じた。
デビューの頃から変わらぬスタイルは,まさに“バトラーツ”であり一本筋の通ったプロレスラー。 それゆえに選んだ引退。
引退の理由は...
吉川祐太選手のコメント(公式発表より)
「片手間で出来るほど甘い世界ではないので、全力で向かえないならばと思い、自分の気持ちにけりをつける為、現役を退く決意を致しました。 残りの一試合に全身全霊でぶつかっていきます! バトラーツに入門してからの六年間、応援してくださった皆様、ご指導してくださった方々、 バトラーツ吉川祐太に関わってくださった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。 思い出のつまったバトラーツジムはもうないので 最後は道場の雰囲気や香りが残るアイスリボンさんのイサミアリーナで試合させていただきたいと思います。 よろしくお願いいたします!」
格闘探偵団バトラーツ 吉川祐太

今時“練習出来ないから引退する”なんてプロレスラーは貴重な存在だろう。 ろくに練習しないでも上がれるリングや団体もあるし,戦いすら忘れたプロレスもある。
決して体格に恵まれてない吉川選手が,どんなプロレスラーよりも最後の最後でプロレスラーのプライドを魅せてくれた。
引退という形は残念だし,ファンの気持ちをもっと考えてって意見もあるだろうが, こういった形こそが“吉川祐太”であり彼のプロレスラーとしての在り方なのだと思う...思ってはいても寂しいが。
寂しいけれどプロレスラーをプロレスを...バトラーツに誇りを持ち続けた吉川選手の最後をしっかり胸に焼付け, バトラーツを愛する者達で盛大に送り出さなくては...。

この試合だけバトラーツルールとなった。
以前の鮫肌でも原選手との一騎討ちはバトラーツルールで行われた。 そこにある吉川選手のバトラーツへの拘りと誇りが感じられる。
この面子なのだから鮫肌よりバトルールの方がしっくり来る。
試合はいつもと変わらぬバトラーツの激しい試合が繰り広げられた。
一つだけ絶対に声を大にして言っときたいのは,この試合は激しかったが, この試合だけが特別なわけではなく,バトラーツの試合はいつもこんな感じって事。
引退試合だから想いの強さゆえに少しは激しさが増しているだろうが,バトラーツは普段からこんなスゲエ試合を行っている。 そういった事もあるから,吉川選手は特別な目で観られる引退試合は遠慮してたってのもあるんじゃないかと勝手に思った。
いつものように殺気を放ちドスの効いた声で戦う臼田選手...。
久々の参戦ながらバトラーツ時代のように体の底からバチバチする日高選手...。
アピール無しの“リアル”ショーン・キャプチャーは最高のはなむけだった。
いつものように我武者羅に殴り蹴り馬鹿騒ぎした澤選手...。
いつものような風景だけど,今回は吉川選手を囲んだ三選手に心の底から「ありがとうございました」と言いたい。
沢山の人で埋め尽くされた会場で,吉川選手は最後も吉川選手らしく全力を出し切り,ボコボコに殴られボロボロになった。 文字通りのボロ雑巾。
けれども誇り高きバトラーツの吉川選手は,最後までバトラーツスタイルを貫き通した。
引退試合だからこそ,残る選手は負けられない。 勝って欲しいけど,勝って欲しくない...複雑な心境だったが,やはり“勝って欲しい”いや“もっと観ていたい”から声援を贈った。
何度も何度も倒されては立ち上がり,最後は澤選手の愛の詰まった伊良部パンチの前に力尽きた。 伊良部パンチ...今日はE-LOVEパンチだったな。 EはENDのEみたいな。
最後の試合なのに汗まみれになり,ヨダレと鼻水を垂れ流す姿...カッコ悪いなあ...けど,カッコイイよ。
バトラーツを愛した男は,バトラーツの戦いの中でボロ雑巾になりレスラー生活の幕を閉じた。


最後の入場


隣には臼田選手


マウスピースをくわえ戦闘態勢へ


相手を睨みつける


最終試合のゴングが鳴った


下からだってシバいちゃう


鮫肌対決


四の字式アキレス腱固め


アンクル・ホールド


サッカーボール・キックだ!!


座り込んでのシバキ愛




腕ひしぎ逆十字固め


これがバチバチだ!!


張り手炸裂


蹴って殴って馬鹿騒ぎ


ミドルキック


フロント・ネックロック




脇固め


澤選手...観えないっす。




カウンター式飛び付き腕ひしぎ逆十字固め






這いつくばる


アピール無しの“リアル”ショーン・キャプチャー




掟破りのシャイニング・ウィザード






ミドルキック


立ち上がれ吉川選手!!


伊良部パンチで壮絶な最後


お疲れ様でした!!

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