石川雄規興行/2012.11.11/東京・北千住THEATRE1010・ミニシアター・雑感

※はじめに...俺はプロレスを観客なので観客の視点でとらえて来た事や雑誌で読んだりTVで見た 事程度しか知りません。知らない者から観た薄っぺらい感想文ですので,それでも良い方のみ御覧ください。

◎雑感
★2011年11月5日のバトラーツ解散興行から約1年,格闘芸術を観れる場所が帰って来た。
数年前から所属がほとんどいなくなった時点でバトラーツは団体として機能してなかった。
だから,団体じゃないものをクローズするだけ...その意味は最後だけ観た人には全て伝わらないだろう。

終わりがあり,そして新しい始まりが生まれる。
だから新しい終わりが来るまで,また新しい始まりを観に行く...それが“終わり”の始めだろうとも。

会場ロビーで盟友とき兄さんと合流。
末端価格数万円(笑)の価値があるブツの売買等を行い受付へ。
受付には石川選手がいらっしゃり,チケットを引き換えていただいた...ありがとうございました。
開場まで少し時間があったので,ロビーで時間つぶし。

開場時間ギリギリに入場待ちの列に並び開始をドキドキしながら待つ。
中に入ると,リング上では鈴木選手と焙煎選手が練習を行っていた。
久々に見たが相変わらず鈴木選手のブリッジは女子選手ばりの凄いアーチを描いていた。

本戦に先がけ石川塾塾生によるアマチュアが行われた。
てっきりアマチュア格闘家の人による総合とかグラップリングの試合だと思っていたら,バトラーツルール?の試合だった。
流石に“このリング”に上がるプロフェッショナルレスラー達とは比べ物にならないけど,アマチュアマッチの試合は,
そんじょそこらのプロレスラー同士の試合よりも素晴らしかった。
10分間の素晴らしい闘いに,完全に観入ってしまった。
あれがアマチュアマッチなのか?って程の素晴らしい試合だったなあ。

アマチュアマッチが終わりしばらくすると,ミスター・ローリングコールこと味方リングアナが登場し選手入場式へ。
そしてバトラーツのテーマ曲が流れる。

バトラーツはクローズしたが,リング上の風景は変わらない。
選手達は石川選手のもとに集い闘う。格闘芸術を追求し闘う。
失ってはいけない闘い...看板は変わっても選手達が魅せるものは格闘芸術なんだ。
だから本質は何も変わっていない。
だからそこの価値のあるリング。

バトラーツという団体は無くなっても,闘い自体はバトラーツルールだしバトル&アートなんだってのを...。
解散の時の言葉の意味を改めて理解できたような気がする。

これが,終わりの始まり...。

選手入場式では村上選手が登場せず,村上選手なりの宣戦布告?
タッグパートナーの臼田選手も選手の挨拶の前にスグにリングを降りた。
キタ!キタ!BML!
ビッグマウスラウドは無くなっても,やっぱ2人が組めば超おっかないコンビ復活だぜ。

会場が困惑する中,石川選手が挨拶を行った。
入場式なのにギラつく石川選手の目...危険な再会は,ただごとではすまないのか?



第1試合は,共にバトラーツで生まれたスルガ選手とタケシマ選手が激突。
入場式でBML魂を魅せられたスルガ選手も,この日ばかりはフーテンってよりBMLモードだったのか?
タケシマ選手は体もデカクなり,木村響子選手っぽいコスチュームも似合ってた。
スルガ選手の厳しい攻撃に対し,一歩も引かないタケシマ選手のたくましさに驚いた。
最後はスルガ選手が対“佐々木恭介”用に開発したフィニッシュ率抜群の恭極でカタカナリングネーム対決を制した。
試合後は乱闘に発展し,何故かアイアンマン西田レフェリーが攻撃の的に...変態仕様のバトっぽいな(笑)。



第2試合は両者共に頑固なレスリングを行う,何気にちょっと似た者対決。
三州選手の前に前に行く直線的な動きと,のらりくらりしながらも的確な大久保選手の動き。
対照的な動きの交わりが面白かった。
最後は大久保選手の腕ひしぎ十字固めがガッチリ極まったが,耐えながらなんとか脱出しようとする三州選手。
しかし最後は耐え切れず無念のタップアウト。
何気なく組まれたカードだが,意味が深いんだろうな。
予想以上に深みのある試合で面白かった。



数年ぶりの一騎討ちで,リベンジに燃える焙煎選手。
それに対しシャーク選手がどう動くか...第3試合は緊張感のある展開からスタート。
お互いがお互いのスタイルを貫き,更に高度な格闘芸術を見せるのだから面白い。
焙煎選手の口撃や,シャーク選手の立体攻撃...どちらも,このリングでは珍しい攻撃だが,核がしっかりしてるから邪魔にならない。

ツームストンを喰らった焙煎選手は,ダイビング・ヘッドバットを狙いコーナーに上ったシャーク選手に飛び掛り阻止した。
シャーク選手のフィニッシュムーブであり抜群のフィニッシュ率を誇るシャークデスバイロックを,焙煎選手は素晴らしい寝技テクニックで見事に阻止した。
焙煎選手の研究や成長がシャーク選手にプレッシャーをかけた。

だが,シャーク選手には成田選手を秒殺KOしたり,何人もの選手をKOした鋭い蹴りがある。
最後は死角から足が飛んでくる超高速のバックスピンキックで焙煎選手は完全KO。
目の前で見たけど,マジで凄かった。
蹴りも早かったけど,シャーク選手のグランドとか早過ぎて素人が目で全部追うのは無理があったなあ。
スロー再生ぐらいで丁度いいかもね。

負けた焙煎選手は涙を流しリングを去った。
焙煎選手の成長とシャーク戦にかける想い...そしてプロフェッショナルレスリングに対する誇りを感じた素晴らしい一戦だった。



セミはIGF(スネークピット)同門対決。
そして週刊誌でも別の団体での同じカードが取り上げられてた一戦。
リングが変わり両選手が魅せた闘いは...。

定選手は初めて生で試合を観るが,ゴツゴツした試合をするイメージしか無かったが,
体の小ささを活かし立体的な動きもやっていた。
まさかマッドスプラッシュまで放つとは予想外だった。

予想外と言えば鈴木選手の闘い方が予想以上の叩き潰しだった。
そして一つ一つの動きに重量感がありスゲエかった。
形だけじゃなくちゃんと頭を絞め上げるヘッドロック,正しいフランケン・シュタイナー,
“鈴木オリジナル”ダブルアーム・スープレックス...戦慄の重爆ストンピングと爆発した鈴木選手の怪物性。
特に目の前で炸裂したストンピングは凄い迫力だった。

最後は鈴木選手がオリジナル技と言っても過言では無いダブルアーム・スープレックスで定選手を半失神KO。
追い討ちとばかりに羽根折り固めで絞め上げるが,定選手の体には力が入っておらず。
すると鈴木選手が「終ってるよ」とレフェリーにアピールし,レフェリーが試合を止めた。
すんげえ迫力のすんげえ面白ぇ試合だった。



メインはツワモノが揃いも揃ったタッグマッチ。
恐怖のBML復活の村上&臼田組の迫力は流石。
村上選手はバト解散には間に合わなかったが,このリングに上がってくれて嬉しかった。
やはり石川選手と村上選手の抗争は忘れられない凄まじいものだったし,村上選手の真の狂暴性を引き出せるのは石川選手しかいなしね。
試合前から村上選手の血の沸騰具合は客席にまで伝わるようだった。
そして隣にいる臼田選手の“キラー臼田”も呼び起こした感じだった。
対する石川&タイガー組も入場から見栄えがして素晴らしかった。

そして石川選手と村上選手が視殺戦に...会場には何とも言えぬ緊張感。
選手達の闘気が客席を完全に飲み込んでいた。
客が動いたり声を出したら殺されるぐらいの怖さがリングから発せられていた。
こういった雰囲気になるのってたまんねいよね。
だからプロフェッショナルレスリングは面白い!!

石川vs村上の遺恨の延長線上の狂気の闘い,タイガーvs臼田の平成版虎vs組長,石川vs臼田の格闘芸術求道の旅路,タイガーvs村上の一撃必殺の緊張感のある闘い...。
試合はどの顔合わせも最高に刺激的だし,両軍の攻防は一瞬も目が離せない緊張感があった。
おかげで肩凝りが酷い事になったもん(笑)。

最後はグランドレスリングの緻密な切り返しの攻防の中,石川選手が詰め将棋のように追い詰めヒール・ホールドで臼田選手をしとめた。
ロープ際でも自軍コーナー付近でもたまらずタップしてしまうサブミッション...すげえなあ。

目の前でパートナーがタップを奪われ,カットする瞬間さえ与えられずに敗北を味わった村上選手の表情が素的だった。
この厳しい闘いのあるリングを久々に体験し,その凄さを思い出したのかなあ...。

試合後は石川選手と村上選手が視殺戦を行っただけで,何のマイクも無く興行の幕は降りた。
試合の余韻に浸り,目の前で行われた格闘芸術を観た人それぞれが感じたままに胸に刻み,その深さを考察する。
プロレスが持つ言葉では説明できない深さや凄さを堪能できるエンディングだった。

選手側が言葉でなにもかも説明するプロレスが主流だが,やはり自分で想像し考えれるプロレスが俺は好き。
だからこのリングが,闘いが続くといいなあ。


プロレスラーは強い!プロレスラーは凄い!ってのを感じた興行だった。
やっぱプロレスラーは人間離れしてなきゃね♪

次回は来年の北千住。

また広告ポスターを採用していただいた。
会場でも配られてて嬉しかったなあ。

OWARINOTCYU...途中が何度もある事を願い,来年の格闘芸術との再会を楽しみにしようっと♪


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