大日本プロレス/2007.3.14/東京・後楽園ホール⑥

◎第6試合 BJW認定デスマッチヘビー級選手権試合 時間無制限1本勝負
 ~廣島大治組プレゼンツ高所作業につき立体足場建築現場デスマッチ~one night carnival~

 ○王者)佐々木 貴[アパッチ](24分07秒 片エビ固め)宮本裕向[666]●
 *新型D-ガイスト(仮)with蛍光灯束
※第20代王者佐々木 貴が初防衛に成功!!
★宮本選手が後楽園のメインで選手権試合をする...プロレスラーって凄いなあ。 若いとか何だとか関係無く凄いなあ...。 あの宮本選手が...もうそれだけで感無量だ。
初めて観た時はWMF所属の時だった。 綺麗な受身を試合で披露し,試合後は雑用をテキパキこなしていた。 残念ながらWMFは2004年2月11日に第一章に幕を降ろした。 この日の最後,リングをファンが囲み選手達が涙を流した。
一番涙を流していたのは一番若かった宮本選手だった。 僕は涙する宮本選手に「頑張って」と言い握手をした...それしか言えなかった。 そんな言葉に宮本選手は「はい」と言い益々涙を流した...涙を流した分だけ漢は強くなる。
この時を境に活動出来ないWMFから外に出る選手が出たりした...食う為には仕方ない。 上を目指すから...宮本選手もそうだった。 宮本選手は666所属となり,ホームの666ではヤンキーキャラとして人気を集め。 他団体に出ては好勝負を連発する素晴らしい若手レスラーだった。 ほんの数ヶ月前までは...。
2007年3月14日後楽園ホール。 氣志團の「One Night Carnival」が流れるや会場が一つになり曲に合わせ拍手が始まる。 そして宮本選手が入場して来た。 いでたちは白い特攻服 ...世の中はホワイトデー一色...僕らはこの後宮本選手から熱いお返しを貰う事になる。
そして頭には黒いヘルメット...宮本選手がアルバイトをしている建設業のものだろう。 この日のデスマッチは「廣島大治組プレゼンツ高所作業につき立体足場建築現場デスマッチ」。 宮本選手の友達が勤める広島の建築屋の鳶さん達が,試合前にこの立体足場を組み立てた。 ビデー足場(一部ブランケット使用)とはいえ2人で短時間で大観衆の目にさらされ組むのは大変だっただろう。 そこには職人のプライドと宮本選手への思いを感じた。 宮本選手に良い環境で試合をさせたあげたい...。< それはファンも一緒だった。だから足場が組み立てられると大きな拍手注がれた。 さあ準備は整った。
シングルでのメイン。 シングルでのデスマッチ。どちらとも経験が少ないか無いのではないだろうか? それが僕の小さな心配だった...しかし, そんな心配は宮本選手がヘルットを脱ぎハチマキ姿になると無くなった。 あらわになった宮本選手の表情は自信と覚悟に満ち溢れているものだった。 そこにあったのは“素晴らしい若手スラー”の顔ではなく,“トップレスラー ”...そして立派な“デスマッチファイター”としての顔だった。 さあその心意気魅せてもらおうじゃないか!!
一方の貴選手は今や百戦錬磨のデスマッチ王者。 昨年の大日本のメインは貴選手で始まり貴選手で終った。 それだけ去年一年間で安定感と強さが増した。 デスマッチの経験が浅い宮本選手の前には最強の王者が立ちはだかった。
まずはベーシックなプロレスが展開される。 その一つ一つが相手の体調や気持ちを感じ合うようだった。
最初に動いたのは宮本選手。 蛍光灯で一撃するや場外にエスケープした貴選手に追撃のトペ・コンヒーローをかます!! まさに特攻精神!! さらに攻め立てる宮本選手。そして貴選手は目の近くをザックリ切り大流血に。 流れ出るというより噴出す貴選手の血...王者が序盤からハンデを負う。
しかし,こんな事では全く動きが落ちない貴選手。 あっさり反撃するや宮本選手に手厳しい攻撃を仕掛けていく。 「やはり王者は強い」誰もがそう感じたはずだ。
中盤に入ると宮本選手が友の力で逆転する。 車両進入禁止の看板を使い一撃。 さらに美しいミサイルキック,雪崩式フランケンシュタイナーで追撃。 そして遂に立体足場へ!!
蛍光灯束を抱え上る宮本選手。蛍光灯が邪魔をして上りにくそうだ。 そいう思っていると手ぶらの貴選手が追いつき頂上で2人が顔を合わす。 殴り合いを蛍光灯束を使い制した宮本選手が貴選手を突き落とす。 ありえない高さから落とされた貴選手はリング内で悶絶する。 そこに宮本選手が立体足場からのダイビング・フットスタンプで追撃する。 ありえない高さからのありえない一撃に貴選手がのたうちまわる ...内臓が破裂しちゃうんじゃないか?って心配になる一撃だった。
さらに調子に乗りリング内で蛍光灯束を椅子にセットし雪崩式の技を狙う宮本選手。 が貴選手はこれを切り返す...が,これを宮本選手がこらえ再び雪崩式に...が,これをさらに貴選手 がパワーボム・オン・ザ・蛍光灯束で切り返した。 この一連の攻防だけで両者のプロレスセンスの素晴らしさを感じる事ができるほどだった。
ここで貴選手が右脚with蛍光灯束を狙うも, 王者を研究し尽くしていた宮本選手がこれをかわし反撃へ。 ヴァルキリー・スプラッシュを決め,フィニッシュ狙いのムーンサルト・プレスwith蛍光灯へ。 これがジャストミート!!しかし王者は強い!!3カウントは奪えず。
ならばと宮本選手は立体足場に上る....え? 足場の際で後を向く宮本選手...ええ? そして足場の上からのムーンサルトプレスが敢行された。 ありえない高さからのムーンサルトプレス...凄い覚悟だ!! これがやや半身(浅いルナ・ウィング)になりながらもヒット! 覚悟の詰まったありえない一撃に宮本選手の勝利を確信した。 が,王者はこれを返す...すげえよ!! 凄すぎるよこの人達!!
ならばと宮本選手はリング下よりテーブルを引きずり出し,その上に貴選手をセット。 そして三度足場へと...が,なかなか上れない。 無理もない。ここまでのダメージを考えたら。 気付くと宮本選手の白いコスチュームは血で赤く染まっている。 ここでありえない事がまた起こった。 あれだけ凄い技を喰らっていた貴選手が蘇生したのだ。 さらに足場に上り打撃戦を制すると...「やめてくれ!!」と叫びたくなるほど切ない時間が。 足場からのD-ガイスト・オン・ザ・テーブルが敢行された... 衝撃の光景に誰もが度肝を抜かれた。 ああ...これが度肝を抜かれるか...って思えるほどだった。
もはや宮本選手に返す力などないだろう...良く頑張ったよ...。 そう思い諦めてしまった僕の目の前でまたありえない光景が!! 宮本選手がこれをキックアウトしたのだ...肩を上げたんじゃない...キックアウトしたんだ。 その瞬間僕の胸をしめつけられたように切なくなった。 なんて凄いんだ...なんでこんなに頑張れるんだ...人間の底力って...宮本選手...宮本... 「宮本~!!」と叫び続けた僕が,叫びを超えた声で叫んだ。 それは他の人も同じだった。 後楽園ホールに「宮本」という言葉が沢山絶叫されこだました。
ありえない挑戦者の力...ならばと貴選手は宮本選手を無理矢理起こす。 が首に力が入っていない宮本選手。 そこに右脚with蛍光灯が炸裂した。 しかしこれも返す宮本選手...凄いよ...凄いよ...「凄いよ宮本裕向!」! 挑戦者には今までの技では決められないと思ったか王者は遂に奥の手を出す。 変形のD-ガイスト...それは,かつての師匠雁之助選手のファイアーサンダーのような形だった。 頭から真っ逆さまに蛍光灯に叩きつけられた宮本選手。 「ありがとう」 カウント3が数えられ王者が防衛に成功した。
凄かった...凄すぎた...ありえないデスマッチだった。 試合が終ると僕は薬で抑えられているはずの花粉症が大爆発した。 目がショボショボしてしょうがなかった。 「ありがとう」って言葉しかないですよ。 本当に感動しました。 こうして文章をパソコンのキーで打ってるだけで胸がキューンと切なくなる。 本当に「ありがとう」です。
ホワイトデーのこの日,イケメンだチョイワルだ色々あるけれど... 世界中でこの日一番カッコ良かった 男は「宮本裕向」選手でしょ!!
試合後貴選手も宮本選手もマイクで言葉を発した。 全てが観客の心に浸み込んで行った。
貴選手が言った「広島で暴走族やってた男と, 岩手で生徒会長やってた男がこうやってリングで血を流して戦っている。 人生って面白いよなあ!!プロレスって面白いよなあ!! 大日本プロレスって面白いよなあ!!」 そして最後の挨拶を壮絶な選手権試合は幕を閉じた。
鳴り止まなかった歓声...「宮本」「貴」「大日本」コール。 素晴らしい空間にいた2200人のうちの一人として改めて両者にこの言葉を贈りたい「ありがとう!!」


組み上げられて行く足場


廣島大治組プレゼンツ高所作業につき立体足場建築現場デスマッチ~one night carnival


お疲れ様でした。


宮本選手入場


素晴らしい表情だ


王者貴選手入場


メンチを斬り合う


運命の瞬間が迫る


漢の表情だ!!


まずはロックアップで力比べ


蛍光灯で宮本選手が先制打


特攻トペ・コンヒーロー


喧嘩の始まりだ!!





蛍光灯が食い込む








蛍光灯キックの連打








「車両進入禁止」ボードだあ!!


ミサイルキック


雪崩式フランケンシュタイナー


いよいよ立体足場に!!


手ぶらの貴選手が差を詰める


高所での戦いが...


危ない!!


宮本選手が蛍光灯で一撃


突き落とす...


追い討ちは,足場からのダイビング・フットスタンプ





蛍光灯への雪崩技だあ...


が,貴選手がきり返す...が,宮本選手がこらえ...


最後はパワーボム・オン・ザ・蛍光灯


右脚with蛍光灯束は寸前でかわす








ヴァルキリー・スプラッシュ


ムーンサルトプレスwith蛍光灯束


再び足場へ...


驚愕!!足場からのムーンサルトプレス


テーブルに貴選手をセットし三度足場へ...


が,追いつく貴選手


高所での攻防が続き...


最後は危険度MAX!足場からのD-ガイスト・オン・ザ・テーブル


しかし決まらない


首に力が無い宮本選手...


右脚with蛍光灯束


フィニッシュは,新型D-ガイスト(仮)with蛍光灯束


壮絶な試合は幕を閉じた


生きているか...


怪我はないか...


起き上がった宮本選手...スゲエ漢だ!!


そして立ち上がる


称えあう両者


最後は勝った者がしめる


大「貴」コール


第20代王者佐々木貴が初防衛に成功!!

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